「肌が欲するもの」を感じとる感性を育てよう

保湿ケアに「絶対」のルールはありません。

その日の肌の調子に合わせて調整するのが基本です。

肌の乾燥を感じるときは、乳液をクリームに変えてみたり、お肌が弱っているときはピーリング化粧水を使わずに乳液だけ薄く塗るでもいいと思います。

ここらへんは個人がそれぞれに感じる感覚ですから、これがいいという一方的なすすめ方はできません。

「どのくらいの量や頻度がいいの?」と聞かれれば、ご自分が気持ちいい、ちょうどいいと感じる程度が肌を自活肌に導くための最善のめやすです。

肌は自分でうるおう力をもっていますから、化粧水を使わないといけない、乳液を使わないといけないという決まりはありません。

日頃から、頭で考えるだけでなく今、自分の肌に足りないのは何かな、肌は快適な状態かなと感じとる感性が大切です。

自分自身の肌質を知ることも重要

もちろん、肌がほんとうに必要とする保視ケアをしてあげるには、「ご自分の肌質をよく知っておく」ことも必要です。

日々の診察の中で、患者さんのお話に耳を傾けていると、過度に肌コンプレックスを抱え、それによってご自分の肌を正しく判断できない方が少なくないことに気づきます。

たとえば、ご自身の肌が脂性肌や乾燥肌であることが欠点だと思っている方がとても多いのですが、これは肌の個性ととらえる程度で十分です。

よくないのは、コンプレックスにとらわれすぎて、スキンケアのバランス感覚を失ってしまうことです。

たとえば、脂性肌を気にする人は、往々にして洗顔しすぎる傾向があります。

あるいは、乾燥肌の人はクリームや化粧水を余分に塗りがちです。

いずれにしても、過度のケアは皮膚トラブルのもとです。

皮膚は健康なバランスをつくろうとつねに調整をはかっています。

過保護になって、あれこれと世話を焼きすぎることでトラブルを招くことも少なくないのです。

また、肌質やコンディションは、季節や体調、年齢などによって移り変わるフレキシブルな一面ももっています。

自分は脂性肌だという思い込みが強すぎると、年齢や季節によって乾燥ぎみになったときもケアが変わらず、知らずしらずのうちに肌に負担をかけている人も少なくないのです。

肌機能が整えば、どんな肌もきれいになる

わたしが日ごろの診療活動から感じている個人的な見解なのですが、肌タイプというのは一長一短なところがあります。

脂性肌ぎみの人は、皮脂の分泌が盛んな若いうちは、ニキピや吹き出物ができやすい傾向にあります。

しかし、年齢を重ねたとき、肌にシワが寄りにくい傾向にあるようなのです。

これは皮脂でつねに肌のうるおいが保たれていることと、皮脂腺がしっかりしているために真皮の線維が支えられているところに要因があるのかもしれません。

わたしのところにケミカルピーリングのために通われている70代の女性がいますが、彼女は若いころ、ニキビ肌にずいぶん悩まされ、肌にはまったく白信がなかったそうです。

でも、今のお肌を拝見すると、シワが少なくて、ハリがあって年齢よりもとても若々しく見えます。

ご本人も「この歳になってはじめていろんな人に肌がきれいってほめられるようになったの。ほんとうに、今が自分の人生で一番いい肌の状態。肌が自慢できるなんてうそみたいよ」とおっしゃっておられました。

一方、乾燥肌~普通肌で、皮脂の分泌が少なめの方は、若いころは毛穴が目立たず、キメの細かいきれいな肌をしていますが、年をとって皮脂の分泌が滅ったときに乾燥しがちで、比較的早くから小ジワが出やすいように思います。

こうした傾向は一概に言いきることはできませんが、肌質はほんとうに個性的で、脂性でも肌がつややかできれいな人もいれば、乾燥肌でもキメが細かくて肌がきれいな人もいます。

それぞれのお肌がちょうどいいバランスを発揮すれば、きれいな肌は容易に実現可能です。

自分の肌質を受け入れられず、それを打ち消そうとケアをすればするほど、肌に負担をかけてしまいます。

どんな肌タイプの人も、本来の皮膚の機能がしっかり発揮されることで、きれいな肌に近づくことができるのです。

それには、それぞれの肌に合ったほどほどのスキンケアが助けになります。

この「ほどほど」のバランスは、人によって異なりますし、年齢や季節によっても変化してくることがあります。

それをいち早く感じとって調整してあげられるのは、自分しかいません。

外からの美容情報に振り回されすぎず、自分の肌の感触や色つやを自分でたしかめ、自分の肌が気持ちいいと感じる感覚をたよりにスキンケアをすることが美肌への近道なのです。