皮膚科医が教える基礎化粧品の選び方

わたしが皮膚科医になってから30年くらい経ちますが、そのころと比べると、日本の化粧品メーカーの基礎化粧品は、おどろくほど進歩し、質も機能もかなり向上しています。

ですから、基本的に、どの化粧品も一定レベル以上の品質を保っていると思います。

最近では、よく化粧品の原価と販売価格についていわれるようになりました。

3000円もする化粧品でも原価は数百円だったりして「化粧品は原価は安いのに、価格が不当に高い」などと指摘されていたりもします。

たしかに、広告宣伝費やマーケティングなどにお金をかけていて、それがために化粧品の価格が上がっている一面もあります。

ただし、化粧品は原価がかかっていなくても、開発のための研究費や、製造や輸送段階の品質管理、製品管理にコストがかかるものです。

ですから、原価=価格ではないのです。

その意味では、あまりに安い化粧品はおすすめできません。

他の商品にも共通することですが、一般に比べ「あまりに安い」ということは、どこかでかならずコストカットが起きているからです。

信頼できる化粧品を挙げるとしたら、まず皮膚科や美容皮膚科などクリニックで紹介する化粧品は、トラブルのある患者さんでも使いやすいものを想定しているので、かなり低刺激で厳選された化粧品だと思います。

ただ、わたしがこれがいいといっても、101人中10人にあてはまるわけではありません。

やはり自分で実際に使っていいと感じるものであることが第一条件です。

成分にこだわって誠実につくられた化粧品がまだまだ数多くあると思います。

昔のような粗悪品はほとんどないので、いろいろチャレンジしてみていいと思います。

ただし、どんなにいい基礎化粧品でも、肌が荒れていたり、敏感になっているときは、トラブルを生じたり、刺激を感じたりするのはあたりまえです。

そんなときは極力、化粧品は使わず、洗顔も減らして、辛抱強く肌の回復を待ってください。

皮脂や角質を肌に残す洗顔法

お肌を洗いすぎるぐらいなら、いっそのこと洗わないほうがお肌のためになるとわたしは考えています。

そのぐらい洗顔はお肌に大きな負担をかける行為と心得てください。

洗顔はいかに汚れをしっかり落とすかより、「いかにお肌に負担をかけずにやさしく洗うか」を意識することが大切です。

お肌の調子が悪いときは、「何もしないケア」を推奨します。

お仕事でメイクの必要がある人ならば、週末などを利用して「何もしないケア」を試してみてください。

2~3日メイクもしない、何もつけない、洗わない生活を送ると、肌がバリアを復活させて、本来のしっとりとしたうるおいを取り戻していることに気づくはずです。

お肌を弱らせる「3すぎ」

「洗いすぎ・こすりすぎ・保湿しすぎ」の3すぎがお肌を弱らせているのですが、このうち「洗いすぎ」「こすりすぎ」の2つはとくに洗顔と関連して起こりやすい過剰ケアです。

落とさなければならないのは、あくまで肌の上にのった汚れやメイクです。

皮膚や角質まで根こそぎ落とそうとすると、かならず皮膚は疲弊します。

それによって、お肌が自分を守るためにつくり出している、皮脂や汗からなる天然のクリームや、角質細胞の間にある脂質までも奪われてしまうからです。

これだけ化粧品や医薬品が進歩しても、皮膚みずからがつくるこの天然の保湿成分に優る成分は生まれていません。

自分にとって最上の保湿成分を大切にした、ほどほどの洗顔が必要なのです。

お肌はお湯で洗うことで、皮脂や汚れは8割がた、落ちるものです。肌が乾燥気味だったり、調子がいまひとつのときは、お湯で洗うだけで十分だと知りましょう。