化粧品の美容成分に要注意!
ヒアルロン酸、コエンザイムQ10、アスタキサンチンなど話題の新しい美容成分が登場すると、多くの女性は期待をふくらませてそれを買い求めます。
でも、肌にいい美容成分が次から次と登場するものだから、具体的にどんなメカニズムで効果的なのか、どれが自分の肌に合うのかよくわからないと混乱している人も少なくないと思います。
化粧品の広告で、真皮がヒアルロン酸やコラーゲンで満たされている皮膚の断面図を大きく掲載して、〈加齢とともに減少するヒアルロン酸やコラーゲン配合〉などキャッチコピーを添えていたりしますが、これはうっかり早合点しがちなので気をつけましょう。
加齢で減少するヒアルロン酸・コラーゲン
ヒアルロン酸やコラーゲンが、加齢とともに変化したり減少したりするのは事実です。
その化粧品にはそれらの成分が配合されていることもまた事実でしょう。
しかし、この二つの事実を並べることで、その化粧品を使うと真皮にコラーゲンやヒアルロン酸がたっぷりいきわたり若々しい肌になる、というのは期待の域でしかありません。
化粧品のヒアルロン酸やコラーゲンが、真皮までぐんぐん届いて、そこで作用することは科学的にまずありえないのですから。
効果に関する誤解
「薬事法」という化粧品や医薬品を規制する法律では、化粧品や医薬部外品の浸透力について「角質層に浸透する」という表現程度にとどめるように規制しています。
もし、角質層だけでなく、その先の表皮や真皮にまで浸透してしまうとしたら、それは化粧品や医薬部外品ではなく、「医薬品」に相当します。
使用にあたっては、医師や薬剤師の指示を仰ぐなど慎重に扱わねばならないものです。
一方、化粧品について、薬事法では「人体に対する作用が緩和なもの」と定義しています。
化粧品は、「お肌を白くする」「シワをなくす」といった具体的な肌への効果をうたう表現も使ってはいけないことになっています。
それは化粧品にはそれだけの強く明白な効果があるとはいえないからです。
では、化粧品の美容成分は、まったく意味がないのかと問われたら、そうともいえません。
それらの化粧品がお肌に合えば、それなりの効果を感じられる方もいるとは思います(「個人の感想であって、効果を保証するものではありません」とよくテレビCMの字幕に出ていますよね)。
化粧品の効果は?
肌はセンサー機能がありますから、角質問問に美容成分が浸透することで、それを角化細胞(表皮細胞)が察知して、ターンオーバーに作用したり、メラニン色素の産生を抑えるなどの反応が起こることは考えられます。
たとえば、ビタミンAの一種であるレテノールは医薬品で、小ジワ・シミ・そばかすなどに効果があります。
この薬剤は医師の指示がないと用いることができない薬ですが、決められた期間、塗りつづければ、シミが薄くなったり、小ジワが消えたりと一定の効果が得られます。
その強力な効果がある代わりに、皮膚に炎症が起きたり、赤みや痛みを感じるなどの副作用が現れることがありますし、妊娠中の女性は使用が制限されます。
一方レチノール配合の化粧品もあります。
これはレテノールの配合量をぐっと下げて、シミを溶くしたり、小ジワを消す効果をかなりおだやかにしています。
効果が低いぶん、副作用はほとんど現れません。
医薬品のレテノールと、化粧品のレチノールとでは、その人体に与える作用にとても大きな差があります。
こうした「差別化」は、医学や薬剤の知識のない個人が使うことが前提である化粧品に必要な安全策なのです。
こうした化粧品の限界をよく理解しておく必要があります