高機能化粧品の使いすぎは毛穴トラブルのもと

美しい肌の第一条件とは、皮膚が適度な水分を保持していること。

適度な水分を保っている肌は、すべすべしてなめらかなだけでなく、丈夫です。

刺激を受けたときにバリア機能がしっかりはたらくため、抵抗力があり、ちょっとしたことで荒れたり、腫れたりすることがありません。

十分に水分があることで、皮膚が生まれ変わるターンオーバーの周期も順調になるため、くすみやシミ知らず。

まさに、いいことずくめの美肌の絶対条件なのです。

ですから、女性にとってスキンケアとは、「保湿」がもっとも重要なテーマになってきます。

多くの方は化粧水をたっぷり含ませたコットンでパックしたり、あるいはセラミド、スクワラン、レシチン、コラーゲン、ヒアルロン酸などの水分を抱え込む保湿効果の高い美容成分が入った化粧水や美容液、クリームを使用するなどして、なんとか肌の水分を保持しようとあれやこれやと試みます。

ただ、こうした化粧品の使いすぎは、毛穴に潜む「常在菌のバランス」をくずしてしまうことがあります。

お顔の毛穴には、表皮ブドウ球菌、アクネ菌、真菌などの常在菌がいます。

これらの菌は悪者のように思えるかもしれませんが、均衡さえ保たれていれば、肌の味方となってくれる頼もしい菌です。

常在菌は、皮脂などを栄養源にしています。

油分の多い化粧品や皮脂の成分に近い美容成分が肌に投入されると、常在菌にとってはごちそう天国。

どんどん増殖していき、菌のバランスがくずれてしまいます。

赤みやニキビのようなブツブツを生じる酒さ様皮膚炎(口囲皮膚炎)など、炎症を起こしやすい肌環境をつくってしまうのです。

とくに40代以降の女性は要注意です。

女性ホルモンが乱れはじめ、お肌のほてりやムズムズなど、肌トラブルを生じやすい年頃です。

化粧品による赤みやかぶれ、熱感などを引き起こす酒さ様皮膚炎に悩む方は、軽度のものを含めじつに多いのです。

肌の「天然クリーム」で充分まにあう

与えすぎ、奪いすぎ、手をかけすぎのスキンケアは、肌をダメにすることはおわかりいただけたかと思います。

では、スキンケアはどうしたらいいのでしょうか。

まず、肌にはすでに「天然の美肌クリーム」があることを知ってください。

わたしが患者さんたちに「できるだけ、何もしないであげてください」とアドバイスする理由のひとつはここにあります。

天然の美肌クリーム…その原材料となるのは、汗と皮脂です。

それを皮膚表面の常在菌が分解し、酸性の排池物を出します。

この排池物が「天然のクリーム」の貴重な原材料となるのです。

この天然のクリームは、皮脂膜となって角質層の表面をコーティングし、肌内部の水分が蒸発しないようにはたらいてくれます。

角質が必要以上に剥離するのを防ぎ、角質層を健全に保つことで、肌になめらかさや柔軟性を与えてくれているのです。

それから、バリア機能もあります。

角質層と協力して、外界からの刺激や微生物の侵入などからもお肌を守ってくれています。

さらには、皮脂膜は熱を伝えにくいので、暑さや寒さから守ってくれるはたらきもあります。

また、洗顔のあと、アルカリ性に傾いた肌をふたたび弱酸性に引き戻すはたらきもしています。

肌から生まれる天然のクリームの成分を分析してみると、じつにいろいろな成分が含まれていることがわかります。

トリグリセライド、脂肪酸、スクワラン、コレステロール…これほど複雑で優れたクリームに匹敵する化粧品は、この世の中にはまだありません。

また、オリーブオイルやシアバターなど一種類の油脂で構成されているクリームともまったく違うのです。

自分の肌から出る100%天然のクリームは、どんな優秀な高級クリームよりもあなたの肌になじむ最高品質のものであることを頭に入れておきましょう。

だからこそ、スキンケアにおいては、この天然のクリームを取り去らないことが大切なのです。

そして、余計なものを与えすぎないことが大切なのです。

今のスキンケア発想に足りないのは、こうした肌にそなわった力を信頼して、「皮膚におまかせする」という視点だと思うのです。

一週間のスキンケア断食で肌はよみがえる

きれいな肌の持ち主と出会うと、「どんなスキンケアしているの?」とつい聞きたくなってしまうのが、女ごころというものかもしれません。

でも、そんな人ほど「とくに何もしてない」という答えが返ってきます。

そんなつれない返事に物足りなく感じるかもしれませんが、「とくに何もしてない」という答えは、スキンケアの的を射た大きなヒントです。

肌は四六時中、気温や湿度の変化、紫外線や乾燥、ほこりや排気ガスなど、ストレスや外界からの刺激にさらされています。

太ももやお腹の皮膚など服に守られている部分に比べて、表に出ているお顔の皮膚は、このようなストレスや外界からの刺激をダイレクトに受けやすい部位なのです。

しかも、日中はメイクアップ化粧品におおわれているうえ、無意識のうちに手でこすられたり、髪でチクチク刺激されたり、お顔の皮膚は思った以上にストレスフルな一日を過ごしています。

そんな刺激に満ちた一日を過ごして疲れているところに、早く回復させよう、ダメージを帳消しにしようと勝手な思い込みで、次から次へとさまざまな化粧品を塗り重ねたらどうでしょう。

ケアのはずが、肌にとってはさらなるストレスだった…ということになりかねません。

とくに夜は、肌が昼間のダメージを修復し、新しい細胞が生まれる時間です。

脳だって寝る前に刺激を与えられれば、眠りが浅くなりますし、情報を詰め込まれれば寝つきが悪くなります。

このお休みのための時間帯に余計な刺激を肌に与えることは、肌が回復して健康になろうとする自然のはたらきを阻害しているおそれもあります。

・お風目上がりは、保湿化粧品を塗り重ねないと不安な人
・エステや美顔器でケアしないと肌がおとろえると思い込んでいる人
・お化粧品は、高ければ高いほどいいという基準で選んでいる人

そんな人は一度だまされたと思って、最小限のケアにしぼるか、何もせずに一週間過ごしてみてください。

何もトラブルは起きないどころか、お肌はちゃんと自力でうるおって、復活する力をもっていることに気づくはずです。

「とくに何もしてない」という人の肌は、こうした余計なストレスにさらされることの少ない、めぐまれた肌環境にあるといえます。

それによって肌が十分に機能できる自活肌になっているのです。

スキンケアで一番大切なのは、与えることではありません。

お肌が本来もっている機能を十分に発障できる環境をつくってあげることなのです。

皮膚の内部には、お肌を健康に美しくするためのさまざまな機能が詰まっています。

その機能をじようずに生かすことができた人が、「肌のきれいな人」と呼ばれるのです。