からだの中から肌を育てるインナースキンケア

全身に水分が不足してくると、皮膚に届けられる水も不足します。

汗が出なくなり、肌がカサついてきます。

そして、皮膚をつまむと、シワが元に戻るのが遅くなる症状が現れます。

これは脱水症状を確認するときの診察方法のひとつで、「皮膚をつまむ」というチェック方法によって、皮膚のハリが不足、つまり水分が足りないことがわかるのです。

脱水症状が認められたら、軽度であれば、水とナトリウムなどのミネラルの入った経口補水液などを飲ませれば徐々に回復します。

口から入った水分は、すぐさま吸収されて、全身をかけめぐります。

当然ながら、からだに水をかけたり、お風日に入れたりしても、皮膚から水分を吸って回復するようなことはまずありません。

口から水分を補給するのがいちばんてっとり早い方法です。

スキンケアにおいても、同様の発想です。

スキンケアにおいては、外から与えるだけでなく、内側からも満たす方法がもっとも効果的なのです。

皮膚は目で見て手でさわることができる場所にあるので、外から与えるケアがいちばん最短距離で、素早く効果を発揮すると思われがちです。

しかし、真皮や表皮にまではたらきかけるようなケアは、日常的に家でおこなうスキンケアでは、ほとんどアプローチ不可能な領域です。

ですから、自分でスキンケアをしようと思ったら、バランスのよい食事を基本として、皮膚にとって大切な栄養を意識して取り込む、いわば内側からの「インナースキンケア」こそ肌のためにできる究極のケアのひとつなのです。

こうしたケアは、わたしたち医師も直接手助けしてあげることができない部分で、人ひとりの自覚と行動にかかっているのです。

肌にとって大切な栄養素

肌にとって大切な栄養とは、たとえば皮膚を健康に保ち、若々しきを保つビタミンA・C・Eは必須です。

ビタミンAのうち、にんじん、パセリ、ホウレンソウなどの緑黄色野菜に多く含まれるのは、カロテノイドの一種、β-カロテンと呼ばれます。

食品に含まれるβ-カロテンは摂取すると体内でビタミンAに変化し、皮膚や粘膜を丈夫にし、すぐれた抗酸化作用を発揮します。

抗酸化作用とは、紫外線などによって生じて細胞を傷めつける活性酸素を除去するはたらきがあり、からだを若々しく保つためにひじょうに有効な栄養素です。

ビタミンCは、ピーマン、ブロッコリー、グレープフルーツ、キウイなどに多く含まれます。

コラーゲン生成に不可欠で、メラニン色素の生成を防ぐはたらきがあります。

ビタミンEは、植物油や緑黄色野菜、魚介類に含まれ、末梢神経を広げ、血行をよくすることで肌の新陳代謝をうながしてくれます。

どちらも抗酸化作用にすぐれています。

カロテノイドの力

リコピンやアスタキサンチンなどのカロテノイドは、ビタミンを大きく上まわる抗酸化作用があります。

リコピンは、トマトやスイカの赤い色素で、その抗酸化能はβ-カロテンの2倍、ビタミンEの100倍にもなります。

また、アスタキサンチンは、鮭の身、カニやエビの甲羅を加熱したときの赤色素で、やはり高い抗酸化作用があります。

肉や大豆、魚に含まれるたんぱく質は、良質な皮膚の材料となります。

ただし、どれも極端にたくさんとるのは禁物です。

栄養バランスのよい食生活はいつでも基本のキだからです。

また、腰眠をしっかりとること、運動して全身の血行をよくすることも肌の代謝を上げるうえで重要です。

健康できれいな肌は、表面的なケアからだけでは生まれません。

からだの内側から肌を育てるケア、インナースキンケアをしなければ、いきいきとした肌にはならないのです。